医療機器の安全管理とは

医療機器の安全管理とは?

「安全」とは、国際規格において、「許容不可能なリスクがないこと。リスクを許容可能なレベルまで低減させることで達成される。」と定義されています。医療においても、患者に安全な医療サービスを提供することは最も重要な基本的な要件の一つであり、安全を確保するための対策を実施することが医療機関には求められます。

医療機器の安全管理には、医療機器の保守点検の実施、医療機器を適切に使用するための研修の開催など、医療機器に関わる様々な取り組みが含まれており、重要な医療安全対策の一つと考えられています。

医療機器を取り巻く
環境を含めた安全対策

では、医療機器の安全管理は、具体的に何を実施するのでしょうか?これは色々と考えられますが、例えば、

  • 医療機器の保守点検を実施して不具合がないかをチェックすること
  • 医療機器の正しい使用方法や特徴を理解すること
  • 医療機器に関連する情報収集(事故やヒヤリ・ハットなど)をすること

などが挙げられます。このように、医療機器の安全管理は機器の動作チェックだけでなく、ユーザの教育も含まれており、モノとユーザの両面から考える必要があります。

医療機器の安全管理は
なぜ必要なの?

患者さんに医療を提供する上で、医療機器は便利な道具ですが、使用していくうちに何かしらの部品が劣化して不具合が生じる可能性があります。

また機器の不具合以外にも、ユーザによる誤操作や失念によって「医療機器のヒヤリ・ハットや事故事例」のようなトラブルを引き起こすことも十分にあります。

人工呼吸器の
ヒヤリ・ハットや事故事例

電源ケーブルの
                  コンセントへの接続忘れ、バッテリー切れによる動作停止、呼吸回路の誤接続やリーク、加温加湿器の電源⼊れ忘れ

CT装置の
ヒヤリ・ハットや事故の事例

患者や撮影部位の間違い、患者の転倒・転落、植込み型電⼦デバイスの誤動作、造影剤による副作⽤

このため、日ごろから医療機器の点検を実施して不具合がないかをチェックしておく必要があります。また、ユーザ側も医療機器の特徴と正しい使用方法を理解して、患者さんに危害が出ないように安全に使用することが重要です。

これから医療機器の
安全管理をはじめる方へ。
この3つから実施してみませんか?

医療機器の安全管理

患者さんに安⼼・安全に使⽤できるように

保守点検
の実施

×

正しい使⽤法
・特徴の理解

×

安全情報など
の情報収集

医療機器の保守点検

医療機器の保守点検(日常点検)は、普段の業務で医療機器を取り扱っている方であれば、概ね実施できます。

もしも医療機器の保守点検方法がわからない場合は、厚生労働省から発出されている通知「医療機器の研修保守点検の指針」がサポートします。この指針には、「医療機器の保守点検を実施する際のチェックリスト」がわかりやすく記載されています。これらを参考にして、自施設で使用している医療機器の保守点検を実施しましょう。

医療機器の研修・保守点検の指針

医療機器の
正しい使用方法や特徴の理解

医療機器は、機種によって使用方法や特徴が異なります。そのため、医療機器の取扱説明書を読むことや取扱い方法に関する研修への参加などが重要です。この中で、医療機器の適応疾患や使用上の注意点などを学ぶことができます。

また自施設に新しい医療機器が納入された場合には、必ず取扱説明書を確認し、医療機器メーカなどから正しい取扱い方法を聞くようにしましょう。

医療機器に関連する安全情報の収集

保守点検や医療機器に対する理解だけでなく、他の医療機関で発生した医療機器の事故やインシデント情報を収集することも重要です。これらの情報は、自施設で医療機器の安全管理を実施する際の参考となります。

情報収集として活用できるサイトやデータベースが、いくつかあります。

これらの情報を参考にして、自施設の医療機器の安全管理に役立てましょう。